夕焼よなんにもなくて悪いかよ
こちら操縦席まもなく春の月
春の月を ちくわに押し込んで食べる
春めきに紙つみあげるしかなくて
春だからクリームソーダ色の夢
心臓はアクリルのなか春の雨
春風に吹かれて消えるほどの自我
立春のゆるやかに死ぬ細胞たち
雪野から星ぜんぶ撃ち墜とす恋
冬を絵にしたら尖った丸になる
ガソリンのゆらぎに 蝶が迷い込む
ランドセルびしょびしょ 氷柱だった水
枯野への招待状を燃やす夜
民主主義崩れて 今日も富士に雪
初日の出 きれいな嘘と同じ色
元日のパトカー 父を乗せてゆく
君に訊けなかったことを鴨に訊く
あいまいな言葉ばっかり おでん煮る
君と犬だけがすべてであとは雪
白鳥が書くことをまだ止めるなと
空き瓶に気持ちを詰め込めば寒い
逢いに行く プテラノドンにでもなって
「ごみ箱を空にする」 「初雪が降る」
透明になれたのにまだ夜が寒い
前髪を上げて三十六度四分
裏切りを夢のとんぼに打ち明ける
虹が出て明日は最短の未来
満月をタルトの底に敷き詰める
流れ星ひとつは僕によく似てる
夏の霧クレヨンだけで描いてある
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